不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

マールスドルフ城1945/多島斗志之

マールスドルフ城1945 (中公文庫)作者: 多島斗志之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2000/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 1945年4月、ヒトラーが電波を出しまくり、SS将校シュミットに「赤い顔を殺せ」という奇怪な指令を出す。…

踊る一寸法師/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣 (光文社文庫)作者: 江戸川乱歩出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/11/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (44件) を見る 見世物小屋! フリークス! という感じで、乱歩の筆がおどろおどろしく、しか…

金塊船消ゆ/多島斗志之

金塊船消ゆ (講談社文庫)作者: 多島斗志之出版社/メーカー: 講談社発売日: 1991/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 旧日本軍がフィリピン近くで金塊を載せた船を自沈させたものの、戦後、アメリカ軍等が目印どおりに探しても何も見つからな…

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

プロコフィエフ:バレエ音楽《ロミオとジュリエット》より モンターギュ家とキャピュレット家 少女ジュリエット マドリガル メヌエット 仮面 ロミオとジュリエット タイボルトの死 ジュリエットの墓の前のロミオ ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》…

CIA桂離宮作戦/多島斗志之

CIA桂離宮作戦 (徳間文庫)作者: 多島斗志之出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 1990/08/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る 聞いた瞬間に腰から崩れ落ちそうになるタイトルだ。ソ連がシベリアの気候改造をおこなおうとしているらしい。ついて…

新日本フィルハーモニー交響楽団

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30 ロクシン:交響曲第1番《レクイエム》 ブルーノ・レオナルド・ゲルバー(ピアノ) 栗友会合唱団 クリスティアン・アルミンク(指揮) ゲルバーのピアノが良くも悪くも重厚。ミスタッチと思わせる部分は少なから…

どんがらがん/アヴラム・デイヴィッドスン

どんがらがん (奇想コレクション)作者: アヴラム・デイヴィッドスン,殊能将之出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/10/26メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (126件) を見る 奇想コレクションは驚異的な水準を誇る叢書だと思うわけ…

影の兄弟/マイケル・バー=ゾウハー

スターリンに両親が粛清された結果、アメリカとソ連に生き別れた兄弟。そこからソ連崩壊前夜に至るまで、彼らの半生を描く雄編。バー=ゾウハーの場合、これまでソ連内部を描くことは私の知る限りあまりなかったわけで、その意味では、米ソ双方に視点を据え…

悪魔のスパイ/マイケル・バー=ゾウハー

第一次世界大戦末期、エルサレムをめぐる物語。アラビアのロレンス、ケマル・パシャなど、実在の人物も脇に配し、主人公には一組の男女(双方ユダヤ人で、当然ながらイギリス側だが、諸般の事情から女性はオスマン=トルコにスパイを務めるよう強制される)…

真冬に来たスパイ/マイケル・バー=ゾウハー

私は太古の昔、以下のような会話を展開してしまい赤っ恥をかいた。 某後輩:『真冬に来たスパイ』面白かったですよ。 さすらい人:『寒い国から帰ってきたスパイ』の間違いじゃないの? 某後輩および同席者の一部:いやいや、そういう小説があるんすよ(何も…

復讐のダブル・クロス/マイケル・バー=ゾウハー

モサドの長官であるペレドは、長年付け狙っていたファタハ指導者の暗殺に成功する。しかしそれは、新たな復讐の幕開けに過ぎなかった。アラファトと密談する謎のドイツ人、アルフレート・ミューラー。彼の計画では、ユダヤ人が一人必要らしい……。一方、アイ…

ファントム謀略ルート/マイケル・バー=ゾウハー

ミステリにおいて、国家の諜報機関が舞台となり、登場人物もその機関に所属している場合、物語は《国家のための日陰者の物語》という抑圧された重苦しい情感を帯びやすい。本音を表に出さない(出せない)彼らの姿とそのドラマは、沈鬱または沈痛に描かれる…

マウリツィオ・ポリーニ

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op.2-1 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調Op.2-3 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106《ハンマークラヴィーア》 (アンコール)ベートーヴェン:バガデルOp.126-3 (アンコール)ベート…

二期会

ワーグナー:歌劇《さまよえるオランダ人》 多田羅迪夫(オランダ人) エヴァ・ヨハンソン(ゼンダ) 長谷川顕(ダーラント) 青柳素晴(エリック) 西川裕子(マリー) 経種廉彦(舵取) 二期会合唱団 読売日本交響楽団 エド・デ・ワールト(指揮) 渡辺和…

二度死んだ男/マイケル・バー=ゾウハー

再読のはずだが、またもや内容を……。 書ける粗筋の範囲では、タイトルそのまま。つまり、数年前に死んだはずのスパイが、ハイチでまたもや殺された(らしい)。その後は例によって色々曲折。なおソーンダーズが再登場する。 基本的には『過去からの狙撃者』…

ポリーニ・プロジェクトⅡ

ブーレーズ:二重の影の対話 ベルク:クラリネットとピアノのための4つの小品Op.5 (アンコール)ベルク:クラリネットとピアノのための4つの小品Op.5 シュトックハウゼン:ピアノ曲Ⅶ シュトックハウゼン:ピアノ曲Ⅸ ノーノ:…苦悩に満ちながらも晴朗な波……

過去からの狙撃者/マイケル・バー=ゾウハー

再読のはずだが、内容を忘れ去っていた。 訪米中、お忍びで車を運転していたソ連外相が、NY近郊で狙撃され死んでしまう。彼の死は、アメリカによって謀殺されたのではとのソ連タカ派の疑いを招いた。時の米国大統領は、近日開催予定の米ソ軍縮会議を政権の…

警察署長/スチュアート・ウッズ

今月より、新刊中心スタイルを中断して、旧刊中心にしていこうと思う。従って「ええっ、お前これさえ読まずに四の五の言ってたの?」という作品が目白押しになろう。そして原則的には、その都度謝罪してから感想を述べるのが誠意というものだろう。しかし最…