不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ハイブリッド/ロバート・J・ソウヤー

ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)作者: ロバート・J.ソウヤー,Robert J. Sawyer,内田昌之出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/10/01メディア: 文庫 クリック: 21回この商品を含むブログ (63件) を見る ネアンデルタール・パララックス第三弾。とりあえ…

悪人志願/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第24巻 悪人志願 (光文社文庫)作者: 江戸川乱歩出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/10/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る 正直、乱歩のエッセイ類はつまらん。読んでいて苦痛。語り口も柔らか過ぎ…

新国立劇場

グラズノフ:バレエ《ライモンダ》第1幕より夢の場 マリウス・ブティバ(振付) 牧阿佐美(改定振付) ルイザ・スピナテッリ(舞台美術・衣裳) 沢田祐二(照明) 厚木三杏(ライモンダ) デニス・マトヴィエンコ(ジャン・ド・プリエンヌ) オルフ:カルミ…

セリヌンティウスの舟/石持浅海

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/10/20メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (118件) を見る たぶん私ならこういう動機はあり得ないな、と思う。しかしこれを言っても仕方ない。私は…

魔王/伊坂幸太郎

魔王作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/10/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 162回この商品を含むブログ (458件) を見る 《考えろ考えろマクガイバー》に象徴されるように、『魔王』は自分の頭で考えることを読者に突き付けてくる…

サルバドールの復活/ジェレミー・ドロンフィールド

サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)作者: ジェレミードロンフィールド,Jeremy Dronfield,越前敏弥出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/10メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (12件) を見るサルバドールの復活〈下〉 (創元推理文庫…

アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニック

ワーグナー:《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第一幕への前奏曲 シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759《未完成》 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 レスピーギ:交響詩《ローマの松》 (アンコール)ビゼー:《アルルの女》第2組曲より《ファラン…

独裁者の城塞/ジーン・ウルフ

《新しい太陽の書》の第四巻、翻訳あるものでは最終巻。物語はここで一応の完結を見、セヴェリアンの冒険を前作から引き継ぎつつ(今回は戦地にさえ行ってしまう)、後半に至るや俄然、世界の謎が一気に明らかになってゆく。うーん、カタルシス……。しかし、…

イーヴォ・ポゴレリチ

ショパン:夜想曲ホ長調Op.62-2 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調op.58 スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番嬰ヘ長調Op.30 ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調Op.36 イーヴォ・ポゴレリチ(ピアノ) うっひゃああああああああああ!!!! 薄暗…

ブタペスト祝祭管弦楽団

ベートーヴェン:劇音楽《エグモント》Op.84より序曲 チャイコフスキー:歌劇《エフゲニー・オネーギン》よりアリア《青春は遠く過ぎ去り》(チェロ編曲) チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲Op.33 (アンコール)J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2…

フィンランド放送交響楽団

シベリウス:交響詩《フィンランディア》Op.26 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58 ショパン:夜想曲第20番(遺作)嬰ハ短調 マーラー:交響曲第4番ト長調 (アンコール)シューベルト:劇音楽《ロザムンデ》D.797より間奏曲第1番 小菅優(ピアノ…

新日本フィルハーモニー交響楽団

ブラームス:ドイツ・レクイエムOp.45 カテリーナ・ミューラー(ソプラノ) 石橋繁生(バリトン) 晋友会合唱団(合唱) ミヒャエル・ボーダー(指揮) 重い曲目だが、その代わりこれ一曲なのでコンサートの時間自体は短い。 正調で勢いのある演奏。全体の造…

ブルースカイ/桜庭一樹

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/10/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 57回この商品を含むブログ (265件) を見る 三部構成の物語。第一部は魔女狩り華やかりし頃のドイツ(ケルン選帝侯領)、第二部…

警士の剣/ジーン・ウルフ

《新しい太陽の書》第三巻。《世界》がまた一段と明らかにされてゆくとはいえ、本巻で一番強調されるのは、恐らくアドヴェンチャー色だろう。とりあえずにだが、セヴェリアンが冒険する物語と捉えていいのかもしれない。 もちろんそこはジーン・ウルフのこと…

ストップ・プレス/マイケル・イネス

ストップ・プレス 世界探偵小説全集 (38)作者: マイクル・イネス,富塚由美出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2005/10/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (15件) を見る 国書刊行会の世界探偵小説全集としては、今までで最も分厚い一冊…

啓示空間/アレステア・レナルズ

啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)作者: アレステアレナルズ,Alastair Reynolds,中原尚哉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/10/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 43回この商品を含むブログ (111件) を見る 1,000ページを超える大作。とにかく分厚い。これ…

交換殺人には向かない夜/東川篤哉

交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス)作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/09/26メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (84件) を見る この作家二冊目。 とてもチープなギャグ(しかし常套的ではなく、作者自身の色々な意味…

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

シューベルト:交響曲第4番ハ短調D.417《悲劇的》 ヒンデミット:管弦楽組曲《至高の幻想》 R.シュトラウス:交響詩《死と浄化》Op.24 (アンコール)ヴェルディ:歌劇《運命の力》序曲 リッカルド・ムーティ(指揮) 前半のシューベルトは、先週に引き続き…

調停者の鉤爪/ジーン・ウルフ

『拷問者の影』ラストにおいて遂に巨大都市ネッソスの外に出たセヴェリアンの旅を中心にしつつ、作品世界を、ある程度明らかにしてゆく物語。もちろん全ての謎が明かされるわけではなく、相変わらず莫大な余白を残したままなのだが、作品の基本設定はかなり…

ウロボロスの波動/林譲治

ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫 JA)作者: 林譲治出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/09/22メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 26回この商品を含むブログ (52件) を見る 小さなブラックホールが太陽系に近付いてきた。このブラックホールと太陽の衝突回…

白い花の舞い散る時間/友桐夏

白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)作者: 友桐夏,水上カオリ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/09/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 74回この商品を含むブログ (139件) を見る コバルトロマン大賞受賞作。大手予備校のチャットで知り合った女子高生…

クライム・マシン/ジャック・リッチー

クライム・マシン (晶文社ミステリ)作者: ジャックリッチー,Jack Ritchie,好野理恵出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2005/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (108件) を見る 17編の逸品が揃う、素晴らしい短編集。基本的に…

記憶の食卓/牧野修

記憶の食卓作者: 牧野修出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/09/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (21件) を見る 食をテーマとしたホラーミステリ。最初のうちは恐ろしげな雰囲気がある普通のミステリなのかと思わせておい…

血液魚雷/町井登志夫

血液魚雷 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)作者: 町井登志夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/09/22メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 5回この商品を含むブログ (19件) を見る その名の通り、血管の中を魚雷のような病原体が泳ぎ回る話で…

ベルギー王立モネ劇場

モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》K.527 サイモン・キーンリイサイド(ドン・ジョヴァンニ) カルメラ・レミージョ(ドンナ・アンナ) マルティーナ・セラフィン(ドンナ・エルヴィーラ) ペトリ・リンドロース(レポレッロ) イェルク・シュナイダ…

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

シューベルト:《ロザムンデ(魔法の竪琴)》序曲D.644 シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759《未完成》 シューベルト:交響曲第8番ハ長調D.944《ザ・グレート》 (アンコール)シューベルト:劇音楽《ロザムンデ》D.797より間奏曲第1番 リッカルド・ムーテ…

拷問者の影/ジーン・ウルフ

『ケルベロス第五の首』におけるジーン・ウルフは、それ自体でも十分に魅力的な《全貌》を構想したうえで、それを直接または具体的に提示せず、語りに設けた余白に潜ませた。そして、道標を特段目立たない形で作品全体に配置した。道標に気付いた読者は、そ…

午後の死/シェリイ・スミス

午後の死 (ハヤカワ・ミステリ 1414 世界ミステリシリーズ)作者: シェリイ・スミス,山本俊子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1983/06/01メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る 短めの長編である。飛行機で帰国しようとして砂漠に…

そして今はだれも/青井夏海

そして今はだれも作者: 青井夏海出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2005/09メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (21件) を見る 実はこの作者初読。 学園もの、青春もの……ではあるのだが、主人公は教師。新人の若い女性とはいえ、高校生たちと…

悪党たちは千里を走る/貫井徳郎

悪党たちは千里を走る作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/09/26メディア: 単行本 クリック: 43回この商品を含むブログ (45件) を見る いきなり引用しますが、以下の本作最初の科白をご覧下さい。 ア、アニキ。なんか、思ったよりもでかい家…