不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

カンタベリー物語 家扶の話/チョーサー

家扶の話の序 粉屋の話は好評であった。しかし元大工である家扶*1にはこれが面白くない。当てこすりだったと思ったのであろう。家扶は、自分が下卑た話をすれば「高慢ちきな粉屋の鼻を明かして仕返しをするぐれえはわけはない」が、自分は年寄であまり冗談を…

カンタベリー物語 粉屋の話/チョーサー

宿の主人と粉屋の間に交わされた言葉これに続く。 巡礼団の中で、騎士の話は気高いと好評だった。宿屋の主人は次の話者を修道僧に振ろうとするが、ビールで酔っ払った粉屋が割って入る。宿屋の主人に止められても聞きやしない。粉屋は、自分が間違ってもサザ…

カンタベリー物語 騎士の物語/チョーサー

騎士に対する振りと、これに対する騎士の所信表明(出発するから話はよく聞いておいてくれよ、ぐらいなものだが)は総序の歌で済ませているため、このパートは最初から騎士の語りからスタートする。すなわち、チョーサー視点の文章は含まれていない。 騎士が…

カンタベリー物語 総序の歌/ジェフリー・チョーサー

14世紀に英語で書かれた古典文学の日本語への完訳版を読み始めた。感想等を備忘録的にメモする。 4月、恐らくチョーサー自身である語り手が、カンタベリー大聖堂への巡礼を思い立ち、ロンドンのサザークにある宿屋に滞在する。そこには、同じくカンタベリー…