不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

二度死んだ男/マイケル・バー=ゾウハー

Wanderer2005-11-04

 再読のはずだが、またもや内容を……。
 書ける粗筋の範囲では、タイトルそのまま。つまり、数年前に死んだはずのスパイが、ハイチでまたもや殺された(らしい)。その後は例によって色々曲折。なおソーンダーズが再登場する。
 基本的には『過去からの狙撃者』と印象は似ている。色々ぶち込まれている割には強固にまとまっていて、しかし記憶にはあんまり残らないぞという類の読みやすさがある。ただし個別要素の荒唐無稽度はアップしており、いくら何でもこのスパイは無茶だろとか、妖しげなヴードゥー教はどこからどう見ても不要、というかどうやって真相に気付いたんだソーンダーズ等、変な部分は少なくない。しかし、しつこいようだが、全体としては綺麗にまとまっており、漫然と読んでいると万事遺漏なしと思えてしまう。なかなかの豪腕振りを発揮した佳作といえよう。