不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ポリーニ・プロジェクトⅡ

  1. ブーレーズ:二重の影の対話
  2. ベルク:クラリネットとピアノのための4つの小品Op.5
  3. (アンコール)ベルク:クラリネットとピアノのための4つの小品Op.5
  4. シュトックハウゼンピアノ曲
  5. シュトックハウゼンピアノ曲
  6. ノーノ:…苦悩に満ちながらも晴朗な波…
  7. ノーノ:森は若々しく生命に満ちている
  • アラン・ダミアン(クラリネット
  • フライブルク南西ドイツ放送局ハインリッヒ・シュローベル記念財団実験スタジオ(サウンド・プロジェクション)
  • アンドレ・リヒャルト(上記ディレクター)
  • ラインホルト・ブライク(上記アシスタント)
  • ベアート・フラー(ディレクター)
  • バルバラ・ハンニガン(ソプラノ)
  • エレーナ・ヴィチェーニ、カディジア・ポーヴェ、ジョエル・トンプレー(声優)

 最高だったのは一番最初の《二重の影の対話》。ソロの曲だが、録音と生が対話する様は見事。生の音が出ていない時は、スピーカーから甲高いクラリネットの音が流される中、会場が真っ暗になる。こういう演出というか、雰囲気込みの曲も素晴らしいですね。ダミアンの奏楽も実に見事だった。従ってベルクも好演。何と全曲アンコール付き。短い曲なのでできるのだろうが。
 ポリーニのソロ曲だが、やはり見事。まだまだ腕は落ちてないですね。個人的に、この手の曲はもっと鋭くやってくれた方がありがたいが、年齢的にそれを求めるのは少々酷か。なお、《…苦悩に満ちながらも晴朗な波…》における、録音されたピアノ奏楽は、マイクをピアノの中に突っ込んで録っていると思しく、非常に面白かった。
 最後の《森は若々しく生命に満ちている》は、正直よくわからなかったのだが、張り詰めたような雰囲気のある音楽で、非常に興味深く聴いた。真鍮(多分)の板を五枚、叩いたりこすったり、ヴォーカルとソプラノが政治的発言の断片を叫び、呟き……。クラリネットも要所でうまく機能していたように思う。スピーカーから流れるぐちゃぐちゃの人声等も異様な雰囲気を醸し出していてgood。たいへん面白いひとときでした。ただ、マイクで音を増幅する必要があるかは微妙だと思った。