不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

マーラー・チェンバー・オーケストラ

 東京オペラシティは、やっぱNHKホールとは段違いに音が良いですな。若干反響多すぎのような気もするが。

 プログラムはオール・ベートーヴェン。《アテネの聖廃墟》序曲、交響曲第四番、交響曲第三番。指揮はダニエル・ハーディング

 とにかく凄かった。「かいしんのいちげき!」という言葉が相応しい感じ。無茶苦茶若いオケだったが、皆腕利きという印象。原則的にノンビブラートだったので、アンサンブルの精密さは余計に目立ってました。(※ビブラート多用すると、弦が合ってるかどうかわかりにくくなります。)
 ミスがなかったわけじゃないが、「うまい!」という印象を拭うほどではない。そして、各奏者がやる気に満ちている! 名前の通り小編成なのに、迫力満点! 特に素晴らしかったのは木管で、ソロのシーンとか耳が釘付け。ソロはかくあるべし。金管がでかい音で鳴るよりも、木管が一斉に鳴った方が背筋がぞっとするという得がたい経験もした。ティンパニも凄まじく、要所要所で演奏にアクセントを付けていた。特に交響曲二曲は、終始速いテンポと高いテンションで運び、客席も大興奮。正直なところあまり期待せずに行ったのだが、こういうこともあるからコンサート通いは止められない。

 なお、観客の質の良さにも言及しておこう。客の入りは余りよくなく、三割は空席で興行的にはお気の毒だったが、その分音楽好きが集まっているような感じだった。急速テンポ・煽りまくりのフィナーレ(第三番のほうね)が終わっても、すぐには拍手を始めなかったのはその証左。やっぱ余韻は大事だよね。前半だけで吉野直子が帰ってしまってたり、中村江里子がいたりしたのは和少ない欠点であった。