フィンランド放送交響楽団
隣席が鼻息スーピー爺だったが、ニコニコしながら凄く嬉しそうに聴いていて、ちょっと注意できなかった。ヘタレ……。まあ高齢者の場合、高音が聞き取れないのでいくら注意しても無駄という可能性もある。そこまで聴力衰えてどうして音楽を趣味とするのかは謎。
演奏内容の方だが、とても良いオーケストラだった。生なので細かい事故は付き物だが、意思統一されているのが客席まで届く感じで、リズムもちゃんと生きていた。気を緩めると「北欧らしく」と思わず使ってしまいそうになる、木目が細かく熱気も控えめだが、とてもよくまとまった音楽。特に木管が良かった。
というわけで、まずは名刺代わりの《フィンランディア》。派手ではないが良い演奏だったが、フィンランドのオケはこの作曲家ばかりで少々可哀想。今日のプログラムだと、明らかにこれだけ、曲目のバランスおかしいだろ? いい加減やめてやれば良いのにと思う。
小菅優は非常に良いピアニストだと思った。ミスタッチも散見されたが基本的には指もよく回っており、だいいち音色が非常に綺麗。しかし、沈静する部分だと暗い情感もしっかり醸成できるのに、動きが早くなってくると、途端に音楽が《ちょこまかと走り回る可愛い小動物》みたいな様相を呈するのは、「もうちょっとこの中間みたいなところがあってもいいなあ」と思わされた。でも若いうちは、こういう変なところがないと大成しないかも。
マーラーは、テンポ面でのギアチェンジをかなり入れた演奏で、各所でハッとさせられた。オーケストラの出す音もとても美しい。マーラーの提供するメルヘンの世界にたっぷり浸れました。ラスカッロのソロは、歌い口はともかく声質が《姉御》という感じだったので、この曲には微妙に合っていなかったかも。この曲のソプラノは、実に難しいなと痛感した。
そしてシューベルト。二週間前にウィーン・フィルで聴いてしまったので不利は否めないが、これはこれで美しくて良かったです。