不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演(東京2日目)

サントリーホール:19時〜

  1. ブラームス交響曲第3番ヘ長調op.90
  2. ブラームス交響曲第4番ホ短調op.98

 このオケを聴くのは3回目なんですが、相変わらず糞上手い。所在地はドイツとはいえ、音に色香はないオケです。しかしアンサンブルの精度は異次元の上手さ。いやそりゃミスは何箇所かありますよ。若干ずれていた部分もあったし。でも、通常状態での音の合いっぷりが本当にヤバいんです。
 とはいえ、音に陰影がないので、不満がないとは言い切れない。特に交響曲第3番の第1楽章は問題で、オーケストラもノッていなかったこともあり、ちょっと不満。まあ同月にコンセルトヘボウの木質のいい響きで同じ曲聴いてしまっていたからなあ。しかし第2楽章以降は調子を上げ(ちなみに第2楽章から第4楽章まではアタッカで続けました。)、陰影はありませんが美しい、見事な奏楽を披露。ラトルはレガートを多用して、滑らかな運びを重視していました。この指揮者らしく細部に色々な仕掛けを施しており感心しました。なお、木管群の精緻な演奏は特筆もの。第3楽章のホルン・ソロも完璧で笑った。客層が良かったのも特筆すべきで、第3番の最後は、指揮者が手を下ろしきるまで数秒の静寂を味わうことができました。うんうん、やっぱこれですよ!
 この静寂に演奏者側も気を良くしたのか、後半はさらに素晴らしい演奏が聴けました。ラトルはブラームス交響曲だと第2番と第4番を昔から振っているので、第3番と比べて明らかに手の内に入っている。各所でテンポ弄ったりバランスやボリュームを変えたり色々仕掛けてくるんですが、第4番での細工の方が自然に聴けました。レガートもあまり用いず、画然とした演奏であったように思います。テンションもどんどん上がり、相変わらず陰影はそれほど強くないんですが、この交響曲を一気に聴かせる意外に硬派な演奏でした。微細なところまでしっかりコントロールが利いているのは、さすがラトル指揮のベルリン・フィル。圧倒されましたですよ。
 一般参賀は2回あり、2回目の一般参賀にラトルはビールジョッキ片手に登場。彼のこういうノリは嫌いじゃないです。