不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

フェドセーエフ/東京フィル

 オーチャードホールにて。ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲、バレエ組曲《仮面舞踏会》、ショスタコーヴィチ交響曲第10番。指揮はウラディミール・フェドセーエフ、ヴァイオリン独奏はセルゲイ・ハチャトゥリアン

 隣のおっさんが『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』らしき本を読んでいるのが気になってならなんだが、それはともかく。

 これまた実に素晴らしい演奏会であった。とにかくノリノリ。かつ、破綻と言えるようなミスもなく、ソリストも良かった。順番に行くと、まずコンチェルトだが、やや細身ながらも筋のいい音色で正攻法勝負。技術的にはかなりのハイレベルで、カデンツァも楽々と弾きこなしていた。そもそも、この曲をこのレベルの実演で聴けるなんて思ってもみなかっただけに、これだけでも元は取れている。そして、続く《仮面舞踏会》は、うねる弦、叫ぶ金管、突き刺さる木管、という感じでテンション上がりまくり。しかも結構美しい音色で、というオマケ付き。交響曲は更に素晴らしい演奏で、ショスタコーヴィチの初実演を堪能した。なお、全曲、細部まで綿密に練り上げて演奏しており、迫力はあったが粗雑さとは無縁である。

 チョンのせいでただの爆演オケに成り下がってないかと心配していたが、指揮者によってはまだまだ大丈夫らしい。チケット購入時、調子に乗ってフレンズ会員になってしまったので、またこのオケには行ってみたい。