不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ベルリン交響楽団

  1. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73《皇帝》
  2. ベルリオーズ幻想交響曲Op.14
  3. (アンコール)ブラームスハンガリー舞曲第5番ト短調(多分シュペリング編)

 今日のベルリン響は素晴らしかった。ベートーヴェンの段階から、ほの暗い音色にイチコロ。技術上も、合奏面では改善の余地を残すものの、木管金管のソロには不満なし。ていうかあれだ、月曜のマラ9が不満だった原因は、間違いなく座席関係だったようです。やっぱ座席はもっと吟味せんといかんね。
 後半のベルリオーズには、感心を通り越して、驚愕してしまった。前半のベートーヴェンの渋い音色から一転、音色に何ともいえない艶が出ており、《女に振られ、阿片吸い込んで見た悪夢》に相応しいいかがわしさを十全に表現。曲想を執拗なまでに細かく描き分けてゆくインバルの解釈も、曲が曲なんでばっちり嵌り、お見事*1。恋人を表す固定楽想には特に重点が置かれていたが、他にも第二楽章のワルツ、第三楽章の牧童の応答・非応答、フィナーレの弦の細かい動きなど、聴き所満載。全体にハイテンションだったし、感動しました。
 で、正直この幻想交響曲の後にハンガリー舞曲はどうかと思うが、演奏自体はリピート時にテンポを変える等、あざとい芸が大変アンコールらしくて楽しめた。
 最後になってしまったが、このオケに横山幸雄は相性としてちょっとどうかと。流れるように弾き進めたい横山と、ずっしりどっしりやりたいベルリン交響楽団。若干齟齬が生じていたように思う。それでも楽しめたのはさすがプロではあるのだが。

*1:なお、今日はインバル元気でした。回復乙。