不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

東京交響楽団第603回定期演奏会

18時〜 サントリーホール

  1. モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K595
  2. (アンコール)モーツァルト:ピアノ・ソナタK545より第3楽章
  3. ショスタコーヴィチ交響曲第4番
  • デジュ・ラーンキ(ピアノ)
  • 東京交響楽団管弦楽
  • ヴァシリー・シナイスキー(指揮)

 どう考えてもメイン・ディッシュは後半なんですが、前半も実に充実していました。というかラーンキの奏でるピアノの音がすこぶる可愛くて、ニコニコしながら聴いてましたよ。東京交響楽団も、音楽監督スダーンによる筋肉質かつビブラート抑え気味のピリオド・スタイルではなく、柔和なグランド・マナー調。こういうのもまたいいですねえ。
 後半のショスタコーヴィチ、会場は大変に沸いていましたが、個人的には不満あり。がっしりどっしりしたスケールの大きい演奏であったことは間違いないですが、どうも細部のニュアンスに欠け、技術的にもアンサンブルとしてはともかく個人技で瑕疵が散見された。初っ端から金管がやらかしておられたなあ……。とはいえ、ショスタコーヴィチの皮肉っぽく、また音楽的な意味合いにおいて「暴力的」なサウンドが眼前に展開されていたのも事実。荒っぽくはあったけれど、悪い演奏ではなかったということでしょう。