フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2012 東京交響楽団オープニングコンサート
ミューザはまだ修復中だが、今年も会場を川崎市内各地に散らして、フェストサマーミューザが始まったのである。この祭典は、事実上、在京&在神奈川のプロ・オケが一堂に会する機会となっており、各オーケストラとも、結構手を変え品を変えそれぞれに観客(初心者込み)を楽しませようというプログラムを組んで来てくれます。
で、そのオープニング・コンサートがこれなんですが、曲目こそ名曲コンサート然としているものの、時間的には休憩があり、終われば18時越え。指揮者は東京交響楽団の音楽監督で、手抜きなしのなかなか本格的なもの。というか、こういう名曲プログラムって、意外とないんだよな。トマやスケーターズ・ワルツ、《ファウスト》のバレエ音楽、オッフェンバックの舟歌とかは、実演で聴くの多分これが初めて。そういう意味では大変ありがたいコンサートなのです。チケットも安いしな。
演奏はやはり非常に引き締まったもので、音楽は非常に筋肉質でした。ふわりとしたニュアンスが欠落しているのは、オーケストラの性質ではなく、指揮者の性質でしょうな。でも充実した演奏ではあり、満腹感が強いです。ただし、やはり定期演奏会に比べると、どうもオーケストラの仕上がりが緩い部分がある。スダーンは愉しげに振っていて、それはそれで見ていて微笑ましいけれど、ミンコフスキ&OEKの繊細な至芸を二日前に聴いてしまっている耳には、もうひとつ痒い所には手が届いていない。うーん立派な演奏ではあるし、演奏家に対ても好印象持ちつつ聴いてたんですがねえ。これが音楽の難しさか。
戸田弥生のソロは、技巧面では南紫音に完敗、でも楽想への食いつきは肉食系でガッツは大いに買える、という感じでした。軽妙洒脱ではなく情熱的な弾きっぷり。こういうのもいいんじゃないでしょうか。