不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2012 東京交響楽団オープニングコンサート

16時〜 昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

  1. トマ:歌劇「レモン」序曲
  2. ビゼー:小組曲「子供の遊び」
  3. サン=サーンス:ハバネラ
  4. ワルトトイフェル:ワルツ「スケートをする人々」
  5. ビゼー:「カルメン」第1組曲 より アラゴネーズ、間奏曲、闘牛士
  6. オッフェンバック(ローゼンタール編):パリの喜び
  7. マスネ:タイスの瞑想曲
  8. グノー:歌劇「ファウスト」より バレエ音楽
  9. サン=サーンス:序曲とロンド・カプリチオーソ
  10. オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」より 舟歌
  11. 【アンコール】ビゼー:「カルメン」第1組曲 より 闘牛士

 ミューザはまだ修復中だが、今年も会場を川崎市内各地に散らして、フェストサマーミューザが始まったのである。この祭典は、事実上、在京&在神奈川のプロ・オケが一堂に会する機会となっており、各オーケストラとも、結構手を変え品を変えそれぞれに観客(初心者込み)を楽しませようというプログラムを組んで来てくれます。
 で、そのオープニング・コンサートがこれなんですが、曲目こそ名曲コンサート然としているものの、時間的には休憩があり、終われば18時越え。指揮者は東京交響楽団音楽監督で、手抜きなしのなかなか本格的なもの。というか、こういう名曲プログラムって、意外とないんだよな。トマやスケーターズ・ワルツ、《ファウスト》のバレエ音楽オッフェンバック舟歌とかは、実演で聴くの多分これが初めて。そういう意味では大変ありがたいコンサートなのです。チケットも安いしな。
 演奏はやはり非常に引き締まったもので、音楽は非常に筋肉質でした。ふわりとしたニュアンスが欠落しているのは、オーケストラの性質ではなく、指揮者の性質でしょうな。でも充実した演奏ではあり、満腹感が強いです。ただし、やはり定期演奏会に比べると、どうもオーケストラの仕上がりが緩い部分がある。スダーンは愉しげに振っていて、それはそれで見ていて微笑ましいけれど、ミンコフスキ&OEKの繊細な至芸を二日前に聴いてしまっている耳には、もうひとつ痒い所には手が届いていない。うーん立派な演奏ではあるし、演奏家に対ても好印象持ちつつ聴いてたんですがねえ。これが音楽の難しさか。
 戸田弥生のソロは、技巧面では南紫音に完敗、でも楽想への食いつきは肉食系でガッツは大いに買える、という感じでした。軽妙洒脱ではなく情熱的な弾きっぷり。こういうのもいいんじゃないでしょうか。