不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

新日本フィルハーモニー交響楽団第486回定期演奏会

14時〜 すみだトリフォニーホール

  1. シューベルト交響曲第3番ニ長調D.200
  2. フランツ・シュミット:交響曲第2番変ホ長調

 このコンビの良い所と悪い所がはっきり出た演奏会であった。その意味では、双方本当にしっかり仕事をした、ということになろう。
 前半のシューベルトは悪い方が出てしまった。正統的な解釈によるノーブルで美しい仕上がりを見せた演奏で、まあ普通に考えれば佳演なのだが、リズムの処理が甘いというか弾まないし抉らない、おまけに旋律も(ビブラート抑え気味なのに)妙にベターっと平面的に演奏されており、申し訳ないのは重々承知だが、どうも面白くない。つまらない。退屈だ。
 後半は、こちらが聴き慣れていない曲だけあって、前半に感じた弱点はほとんど感じずに済み、ノーブルで真っ当な端正な演奏で、大編成の難曲をしっかり味わえたように思う。新日本フィルは(前半でもそうでしたが)技術的にはほぼ完璧な仕上がり、アルミンクの力の籠った指揮も相俟って、多種多様な楽器の混淆がある曲なのに、一切音が濁らず、似たような曲想が延々と繰り返されるしつこいフィナーレも含めて、緊張感が途切れない素晴らしい演奏を披露していた。