新日本フィルハーモニー交響楽団
- 天羽明恵(ソプラノ)
- エリザベート・クールマン(アルト)
- 栗友会合唱団
- クリスティアン・アルミンク(指揮)
前半のクルターク《シュテファンの墓碑》は、舞台上に打楽器、客席の中に弦楽器・管を配置するという面白いもの。音楽自体もなかなか美しい。最弱音で恐る恐る叩く打楽器群が印象的でした。
さてメインのマーラー《復活》である。色々と考えさせられる体験となった。
演奏内容は実に素晴らしかったと思う。今日は座った席が良かったのか、オーケストラに精彩が漲り、充実した力強いサウンドを堪能。とはいえ指揮者がスッキリした表現を志向しており、暑苦しさはなかった。管楽器中心に疵は散見されたが、目くじら立てるほどのものでもなかったように思う。実演リスクの範囲内。
しかし、音楽そのものへの満足は全然なかった。やはり曲がつまらないと思うのである。確かに《復活》は、初っ端から大編成のオーケストラがバカスカ鳴るし、ソロの見せ場にも事欠かず、人声も加わるし、最後には合唱やオルガンまで参戦、派手派手である。しかも楽想や構成も画然としている。要するに、とてもカッコ良い曲なのだ。でもなあ。単にそれだけなんだよなあ。マーラーの交響曲は傑作揃いだと思うのだが、俺はこの曲だけは評価できない。非難を覚悟で言えば、初心者に対する餌だろこんなの。なんで定期演奏会でやるんだよ。夏休みのファミリーコンサート等に回せや。……ということを確認できたのが収穫かな。まあ楽しめたことは楽しめたんですよ。