不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

新日本フィルハーモニー交響楽団

  1. ブラームス:悲劇的序曲Op.81
  2. シューマン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調
  3. ブラームス交響曲第4番ホ短調Op.98

 オケも一部ソロを除きバランスの良いサウンドを聴かせたが、いまいち盛り上がらない結果となった。アルミンクの解釈が素直に過ぎたのかも知れない。ブラームス交響曲第4番は楽章順に、嘆→鬱→躁→怨念、という流れがあるように思うのだが、アルミンクは全てを端正に流してしまう。技術的にも噛み合ってない部分が散見された。フルートには普通に引いた。木管群も、もうちょっと何か表情あっても良かったのではないか……。これは《悲劇的序曲》でもご同様。
 協奏曲では、ハーグナーのテクニックが良いのはわかったし、求心力もあった。しかし、曲のためかも知れないが、線が細過ぎていまいち……。
 リハサールも一からそこで行えるようなフランチャイズ・ホールを持ち、やる気満々で頻繁に振る音楽監督、意欲的なシーズン・プログラミングが、このオーケストラに音楽的成果をもたらしているのは間違いない。アルミンクもまだ指揮者としては若いし、オケと共に成長しようという気概もあるのだろう。しかし結局、現時点においてバリバリの名曲プログラムで素晴らしい演奏を聴かせるには至っていない。