フェラーラの魔女―グイン・サーガ外伝11/栗本薫
フェラーラの魔女―グイン・サーガ外伝(11) (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/10/01
- メディア: 文庫
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中継ぎの巻で、ストーリー的には「外伝12に続くんですよね?」という感じで尻切れトンボに終わる。フェラーラでの冒険自体大したことはなく、女王リリト・デアや人蛇アーナーダの造形の気色悪さが印象に残るぐらいか。ザザは人型になっても「カー」と言っちゃう辺り、なかなか可愛い。亡霊たちにグインへの想いをばらされて、開き直るところもいい味出している。一方リリト・デアは、ザザと性格が似ていることをグインが観察した瞬間から、威厳も不気味さも完全に剥がれ落ちてしまい残念。グインをたらたら読んでてちょっと思い始めたんですが、ひょっとして栗本薫って、女性キャラクターのヴァリエーションが少ない? いや恋は盲目状態か、ヒスってるか、ナヨナヨしてるかの三択しかないので。
ただしサーガ的には意味のある巻で、フェラーラの神殿に眠る猫頭の女神がグインのルーツの一端を明らかにするところである。ただし例によって勿体を付けたり途中で邪魔が入ったりして、はっきりしたことはわからない。これぐらいの巻でもう少しはっきりさせていたら、完結も不可能じゃなかったでしょうに。この無駄な引っ張りがいいんだよ、という感覚で臨むのが正しい読み方であるとは思います。