マグノリアの海賊―グイン・サーガ外伝9/栗本薫
マグノリアの海賊―グイン・サーガ外伝(9) (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/12/01
- メディア: 文庫
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というわけで、イシュトヴァーンは一応海賊ということになっているが、作品中、仲間はまるで出て来ない。主要登場人物は、イシュトと3名の女性、そして大公の5人で終わりである。そして話は本当に最初から最後まで、イシュトヴァーンがいかに女にモテるかを描く。王になる野望を燃やし、調子に乗ってカッコいいことを延々と喚き続けるイシュトヴァーンに、誰も彼もが惚れていくのだ。単にそれだけの巻であり、意味のあるエピソードでは全くない。文章は美しいので短篇だったら誉めたが、長篇でこれはなあ……。イシュトが好きで好きでたまらない人を除き、特に読む必要はなかろう。
ただし唯一、イシュトがナナに求婚した事実は、本編におけるアムネリスの扱いと比較すると、趣が出て良い。