不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ハイドン・プロジェクト“ロンドン・セット”全曲演奏会第4回

すみだトリフォニーホール:15時〜

  1. ハイドン交響曲第102番変ロ長調Hob.I−102
  2. ハイドン交響曲第103番変ホ長調《太鼓連打》Hob.I−103
  3. ハイドン交響曲第104番ニ長調《ロンドン》Hob.I−104
  4. (アンコール)ハイドン交響曲第104番ニ長調《ロンドン》Hob.I−104よりフィナーレ

 最終日に行って参りました。
 今日は普通に元気な演奏で逆にびっくり。1ヶ月間もの共演を経て、気心が知れてしまったのか、オケもブリュッヘンも楽しげ。でもブリュッヘンに(俺が勝手に)期待しているのは、もっと冷たくてがらんどうな、音の廃墟だったりするわけです。今日はそれがなかったなあ……。ざらついた音で、引きずり気味の重いリズムを用いる、という点は貫徹されていたので、面白くは聴けたのですが。
 ところで2日聴いて思ったのが、やはりハイドンはオーケストラにとって恐ろしい音楽だということです。素人にはシンプルな音楽に聴こえるんですが、合奏するにはかなり複雑というか難しい鳴りが要求され、これにノン・ビブラート奏法で挑むと、オーケストラの機能性が丸裸になってしまうのです。ノン・ビブラート奏法に基づくハイドンの実演は、これまでは(よりにもよって)ベルリン・フィルでしか聴いたことがなかったので、新日本フィルの賀層能力が実によく聴き取れました。もちろんこれで十分なんですが、上がいくらでもある世界なので、本当に怖いなあと愚考する次第。
 アンコール後、ヴィオラの後方プルトにいた(比較的若い?)女性奏者から、ブリュッヘンに花束が渡されました。誕生日等ではなく、単純に「今回のプロジェクトお疲れ様」ということだったのだと思われます。ブリュッヘンはその花束を一旦受け取った後、自席に戻ったその奏者に返しに行くというパフォーマンスを見せました。心温まる風景でしたね。