おかけになった犯行は/エレイン・ヴィエッツ
- 作者: エレインヴィエッツ,Elaine Viets,中村有希
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/12
- メディア: 文庫
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というわけで、ヘレンの転職ミステリ・シリーズ第3弾である。格差社会だ何だと言われる中、42歳の女性が底辺の仕事(それもバイト)で糊口をしのぎ、素敵な男とめぐり合うことを夢見ながら毎回毎回クズ男にしか引っ掛からず、それでもなお元気に暮らしている姿を見ていると、なかなかに勇気付けられる。ユーモアタッチの作品であり、読んでいるだけで楽しいのもポイントが高い。
ミステリとしての作りは流々だが、レギュラーや本作単体のキャラ含めて、登場人物が活き活きと描き出されているのは素晴らしい。ヘレンの心理の動きが(ユーモアに紛れてはいるが)かなり細かく、稠密に追われていることにも注目したい。本書および本シリーズは、ミステリ・マニアが眉間に皺を寄せつつ深く鋭く読解するようなものではない。しかし、ユーモア小説を好む人や、堅苦しく真面目なミステリだけでは飽き足らないミステリ・ファンには、至福の時間をもたらしてくれるはずだ。こういうシリーズは、ずっと続いてい欲しいものだが……。