判事とペテン師/ヘンリ・セシル
- 作者: ヘンリーセシル,Henry Cecil,中村美穂
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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セシル節は健在である。このぬけぬけとしたユーモアを見るが良い! 話に大きな筋を一本通す方向ではなく、細かなエピソードを積み重ねてゆくタイプの作品だが、一つ一つのエピソードが愉快な皮肉と風刺に満ちている。そしてここが特徴なのだが、バークリーの皮肉とは異なり、割と屈託がない。読んでいて非常に楽しい。実はセシル大好き野郎なので、とても幸福なひとときを過ごせました。
というわけで基本的にはお薦めなのだが、こなれていない訳だけが残念。微妙な味わいが殺がれていると思う。シリル・ヘアーの『いつ死んだのか』にも、どうも変な箇所が散見された。名手の未訳作品が読めるのはありがたいのだが、別に人は海外黄金期のみにて生きるに非ず。私にしてからが、海外黄金期がないと死ぬわけではない。もう少し何とかしないと、客が逃げるのではないだろうか。それとも、もう逃げたから価格アップなのかね。