古時計の秘密/キャロリン・キーン
- 作者: キャロリンキーン,Carolyn Keene,渡辺庸子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
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書店ではキャッチーな表紙で目立っているナンシー・ドルーものの第一弾。論理だった推理は皆無で、思い付きがたまたま全部当たるだけ(ちなみにピンチに陥る場合も、全部偶然そういうシーンに出くわしただけ)という内容であり、ミステリとしては肯定的に評価できない。しかし基本的に善意に満ち溢れ、ごくごく一部の人間だけが120%悪意に染まっているという単純な色分けができる世界を丸ごと受容すれば、スピーディーかつ要領よく進むストーリーに引き込まれるかもしれない。優しくて活動的な女の子が、同情を寄せる相手にハッピーエンドをもたらさんと頑張る小説として捉えれば、それなりに面白く読める。
18歳にしては主人公の思考回路が幼稚なのは気になるし、大人たちもナンシーの無茶を止めないのも不思議で、特にナンシーの父親は、結構有能であるらしい弁護士なのに、娘の行状を叱責しないばかりかニコニコしつつ後押しするのは理解できない。が、まあこれはジュブナイルだからあえて全てをシンプルに割り切ったんだと考えればいいのかも知れない。まずはうるさいことを言わず、活き活きとしたナンシー・ドルーの活躍を眺めておけば良いのだと思う。