不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

黒い森/折原一

黒い森

黒い森

 樹海に入るミステリー・ツアーが企画された。数名の男女にガイドの男が付いて、以前惨劇が起きたという樹海の中の屋敷を目指して歩く。だがツアー客の中には、目的地に恋人が待っていると信じている若者がいて……。
 表裏どちらから読んでもOKな凝った製本になっている。しかも中央部は袋綴じである。こういう物理的な仕掛けが絶対に必要であったかどうかは疑問だが、まあ別にあっても違和感のない話にはなっている。また、これは久々に折原一を読んだからかも知れないが、サスペンス・タッチのダイナミックな展開は楽しく読んだ。製本の茶目っ気も込みで評価して、皆でニヤニヤしましょう。
 なお、なぜかそこそこ売れているらしい(新聞の書評欄に載ったんでしたっけ?)。