ジョン・ディクスン・カーを読んだ男/ウィリアム・ブリテン
- 作者: ウィリアムブリテン,森英俊,William Brittain
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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この11編は巨匠ミステリ作家へのユーモラスなオマージュである。ミステリとしては本格が揃っており、それは「ダシール・ハメットを読んだ男」「ジョルジョ・シムノンを読んだ男」「ジョン・クリーシーを読んだ少女」辺りでも変わらない。ネタも粒が揃っていて印象は良い。ミステリ・マニアに対するくすぐり*1も利いており、ニヤニヤしながら読めるのも素晴らしい。バカミスとして有名な表題作はアンソロジーで読めるが、このシリーズが一冊にまとまったのは本当にありがたい。
他の3編もなかなかの出来栄えで、パロディやオマージュに拠らずとも、ウィリアム・ブリテンは整ったミステリを書けることを証明している。
『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』と聞いただけで反応してしまう業深きオタクはもちろん、綺麗にまとまった短編ミステリを読みたい人にもおすすめだ。……あ、でも表題作だけはかなーりバカなんで、その点はお含みおきください。