殺人者の顔/ヘニング・マンケル
- 作者: ヘニングマンケル,Henning Mankel,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/01/25
- メディア: 文庫
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粛然と進行する、素晴らしい警察小説である。高齢化社会(老人問題)、移民増加と社会不安の増大など、北欧社会の問題点が浮き彫りにされる中、クルト・ヴァランダー自身の寂しい生活と渦巻く想念が描かれてゆく。事件もなかなかに劇的であり、物語にカオスを持ち込もうとすれば簡単にできるはずだが、作者ははしゃぐことなく、常に冷静に筆を振るう。全ての登場人物が綺麗に立ち上がってくる様も素晴らしければ、全体の構成も実にしっかりしており、読みやすさと読み応えを両立させている。まさに最高の手堅さであり、私は絶賛を惜しまない。次も読もうと思います。