物しか書けなかった物書き/ロバート・トゥーイ
- 作者: ロバート・トゥーイ,法月綸太郎,小鷹信光
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 単行本
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個人的なお気に入りは、夫が変死したとの通報を受けて刑事が邸宅に向かう不気味な幕切れ「おきまりの捜査」、何度も妻を亡くしその度遺産や生命保険を手にする怪しい男と彼を怪しむ刑事の対決を描く「階段はこわい」、本当に題名ままの「物しか書けなかった物書き」、ギャング志願者とそのボスの、意味ありげな仄めかしに満ちた会話を主眼とする「拳銃つかい」、怪しげな発言に警官が振り回される「支払い期日が過ぎて」「家の中の馬」、売れない作家の頭の中で生きる登場人物を描く「いやしい街を…」、骸骨がヌケヌケと活動する「墓場から出て」、エラリイ・クイーンの特別出演がある「犯罪の傑作」、そして本当に不穏なミステリ「オーハイで朝食を」辺り。ほぼ全てですね。
というわけで、広くお薦めしたい。
法月綸太郎による解説も丁寧で素晴らしいが、こちらについては本編読了後に読む方が良いだろう。的確な分析は、ときに予断を生むのである。