眼を閉じて/ジャンリーコ・カロフィーリオ
- 作者: ジャンリーコカロフィーリオ,Gianrico Carofiglio,石橋典子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/02
- メディア: 文庫
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ストーカー犯罪でしかも加害者は法曹有力者の子息、という事件の陰湿さが明確に打ち出され、結末も甘くはない。しかし、主人公の弁護士と、被害者を精神的に支える修道女が、事件を通してある種の克己を成し遂げるため、最終的には爽やかな印象すら残す。スタイリッシュで流れるような文章と展開によって、格調の高さと読みやすさを両立させていて大変素晴らしい。人物描写の対象を主人公と修道女に絞り込んでいることも、物語を綺麗にまとめる意味では奏功している。目新しいことは何一つしない*1作品なので、過剰な期待は禁物だが、十分に楽しめる佳品といえるだろう。
*1:ただし、本国で上梓された時、イタリアでは、「ストーカー」は犯罪としてまだ認知されていなかった模様だ。