ひつじ探偵団/レオニー・スヴァン
- 作者: レオニースヴァン,Leonie Swann,小津薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
装丁や帯を見ると、早川書房はこの物語をキュートなものとして売り出している模様だが、実質的な内容は全く異なる。作品の雰囲気は非常にお堅いもので、『ひつじ探偵団』はユーモア小説ではなく、いやユーモア小説かも知れないがそれ以上に、辛辣な風刺小説として読解されるべき作品である。ひょっとすると文学ですらあるかも知れない。話はやたら抽象的・象徴的であり、最早晦渋の域に達している。羊たちが人間たちの抱く概念を理解できないのは仕方がないし当然ですらあるが、当の人間の登場人物たちが喋る内容すら抽象的で象徴的なのは問題が多い。羊が喋っているのか人間が喋っているのか瞬時に判断が付かないのは読者の読解力の問題としてさて置くとしても、人も羊も同じような禅問答を延々と繰り広げるのであれば、羊独自の価値観を設定した意味がない。これは作品の根幹にかかわる瑕疵だろう。あと、長過ぎ。100ページは削ることができよう。
そんなこんなで、読み進めるのが苦痛であったことを告白しておきたい。読者を選ぶだろう。