不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

クリスチャン・ツィメルマン

  1. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番ハ長調K.330
  2. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調Op.13《悲愴》
  3. ショパン:バラード第4番へ短調Op.52
  4. ラヴェル:高雅にして感傷的なワルツ
  5. バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番
  6. (アンコール)ガーシュウィン:3つのプレリュード

 素晴らしい演奏会でした。折り目正しさを基調としつつも、様々なニュアンスを込めてゆく。良い意味において過不足がないけれど、思い切った表現がないのかというとそんなこともない。奇を衒っているわけではないが、必要なら色々やるよ、という感じです。というか、音色に常に潤いがあって実に心地良いです。バツェヴィチの曲ははじめて聴いたが、バカテクを要求される曲なのに、それほど難しそうに聞こえず、《嗚呼、手の内に入ってるな》と思わせるのは凄い。