アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 第1日
19時〜 王子ホール
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調Op.12-1
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調Op.23
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調Op.30-3
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調Op.30-2
- (アンコール)シューベルト:ソナチネ第3番
- セドリック・ティベルギアン(ピアノ)
- アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン)
非常に力強い演奏で驚きました。イブラギモヴァを聴くのは実演・録音通じて初めてでしたが、太めの音色を使って体当たり。しかし解釈は恣意的ではなく、非常に構成的だと感じられました。オブジェ作成に当たって、事前に確固たる設計図を濃い目の鉛筆で描き、それに対してノミやハンマーのひと振るいに至るまで全く疎かにせずに情熱を注ぎ込んだ、という印象。音の出し方は大変情熱的なんですが、同時に一音一音実にはっきりと出していて、勢いと丁寧さが両立した演奏となっておりました。まあたまに音は外してましたが、これは多分、ボウイングにもこだわっていたからだと感じられました。
演奏の主導権を終始ヴァイオリンが握っていて、ピアノはポロポロした音を実にいい感じにハキハキと出すんだけれど、堅牢なバックボーン作りに徹していたのも面白かったです。ホント、雰囲気作りにはピアノが全く貢献していないのね。
そしてこの芸風だとバッハやベートーヴェンだと面白いけれど、モーツァルトやシューベルトではどうかしらと思っていたら、期せずしてアンコールで聴けましたわよ奥様。思ったほど悪くはなかったけれど、それでもシューベルトのこの曲には、もうちょっと柔らかさや優しさ、アンニュイ感を求めたかったかな。ともあれ、これはなかなか面白いツィクルスになりそうです。