ルーカス・ゲニューシャス ピアノリサイタル
19時〜 紀尾井ホール
- ショパン:幻想ポロネーズ変イ長調op.61
- ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調op.58
- ラフマニノフ:前奏曲集op.23より第1番〜第7番
- ラフマニノフ:前奏曲集pp.32より第1番、4番、11番、12番、13番
- 【アンコール】ショパン:ノクターン第21番ハ単調、遺作
- 【アンコール】ムソルグスキー/ラフマニノフ:ホパーク
- 【アンコール】レオニード・ディシアトニコフ:フォックス・トロット
- 【アンコール】ショパン:エチュードOp.10-1
- ルーカス・ゲニューシャス(ピアノ)
2010年の第16回ショパン国際ピアノ・コンクールで第2位、ポロネーズ賞を獲得したピアニストを聴いて参りました。
勢いが良くて真面目でいつつ、歌謡性に優れたピアニスト。下手な人が弾くと錯綜しがちな楽譜から、ちゃんと主旋律を取り上げているし、かとって伴奏が弱いわけでもなく、曲をしっかり味わわせてくれます。なかなか充実したひと時が過ごせました。ただ、スター性というかカリスマ性というか《華》がいまいちな上に、かつ音楽の精髄にも入って行かない印象が強い。前者はトリフォノフの完勝、後者はアヴデーエワの圧勝という感じです。もちろん彼自身は絶対値で見れば、真面目に音楽に向き合う演奏家として評価でき好印象なんですが、ウーンやっぱり音楽ってむつかしいや。
今日の演奏で面白かったのはショパンのソナタのフィナーレ。この《驀進》という感じになりがちな楽章から、しっかりとメロディーを引き出していたのには驚かされました。そういう音楽なのホントに、という疑問がないわけではないですが、まあたまにはこういうのもいいでしょう。アンコール最後のエチュードも同様でしたが、こちらはちょっとやり過ぎで音楽のフォルムが崩れていたように思いました。完成度が高かったのはラフマニノフだったように思います。