東京交響楽団
オーケストラのサウンドが充実していて非常に楽しめた。やはりこのオケ好きだなあ……。
前半のブラームスは、重心の低い分厚い響きが曲趣に沿っていたように思う。弦も木管も金管もまずは万全の出来で非常に満足した。このレベルでオケが鳴ると、この曲が「ピアノ独奏付き交響曲」と呼ばれるのも理解できないではないなと思った。そのピアノ、メリハリの付いた情熱的な挙措が好印象ではあったが、ミスタッチが多くて残念。オケが立派だっただけに余計目立っていた。
後半の《南極交響曲》は、各楽章冒頭に引用詩の朗読が英語でおこなわれ、独特の雰囲気を出せていた。オケは変わらず好調。声楽の方もまずは満足。大友直人も、奇を衒わず徹頭徹尾正攻法で取り組んでいた。あまり実演を聴けない曲だけに、好演が嬉しい演奏会となった。