怪奇探偵小説傑作選4 城昌幸集 みすてりい/城昌幸
怪奇探偵小説傑作選〈4〉城昌幸集―みすてりい (ちくま文庫)
- 作者: 城昌幸,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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しかし、ショートショートの先駆者たる城昌幸は、異なる手法を取っている。読んで「ああこれはここら辺の時代を舞台にしているな」とわかる道具や言葉遣いはたくさん出て来る。内面描写にも積極的に踏み込む。変な事件・出来事こそがショートショートの王道、というスタンスはもちろん共通だが、星新一以降ほどには強固ではない。情緒的・感覚的な面にのみ光を当てる作品も少なくない。
ではつまらないのか。悪い意味で古びているのか。私はそんなことはないと思う。これはこれで非常に素晴らしい仕事であり、(いかにショートショートといえども)究める道は一つではない、という当たり前のことを痛感するだけなのである。個人的には、年老いた男を良心が訪ねて来る「良心」が一番好きかな。