不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

さあ、気ちがいになりなさい/フレドリック・ブラウン

 フレドリック・ブラウンの、粒よりの短編集。非常に典型的な《変な状況》を、明快な起承転結付きできっちり描く。シンプル・イズ・ベストとはこのような作品群を指すのだろう。奇想の祖形とも言えるか。個人的には「電獣ヴァヴェリ」が好みだが、この短編集の中では一番情感等が分厚い作品なので、嗜好がブラウンと微妙にずれているのかも知れない。ま、読んだのこれで確か三冊目なんで、決め込まない方が良いわけだが。……というか、『私説博物誌』でヴァベリがどういう生物か知っていたのもでかい。だって筒井康隆超楽しそうに紹介してくれるんだもの。