不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ベルリン・シュターツカペレ

  1. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
  2. (アンコール)シューベルト即興曲D.935第2番変イ長調
  3. シューマン交響曲第4番ニ短調Op.120
  4. (アンコール)マーラー交響曲第5番嬰ハ短調より第4楽章(アダージェット)

 ベルリン・シュターツカペレの音色にノックアウト。弦楽器のうねり、木管の囀り、金管の雄叫び。それらが全て、飽くまでしっとりと、しかも瑞々しく奏でられるのである。でも力の出し惜しみと感じられる瞬間は皆無。とても美しく、同時に渋い。《素晴らしいアンティーク家具》と言われるのも頷けるし、思わず《伝統》なる言葉さえ使いたくなる。いやあ実にいいオーケストラですね。ドイツのオケでは、俺の聴いた範囲内だと、ドレスデン・シュターツカペレに匹敵するんじゃないか。
 バレンボイムの指揮も素晴らしい。リズムは重いが、勢いがある。テキパキしていてソツのない演奏だったとは思うが、それだけではない何かがあった。特に、驀進するシューマンの第一楽章には感動した。第三楽章やフィナーレはもうちょっとハジけても良かった気がするけれど、良い演奏であったことにはいささかも疑念を持てぬ。ピアノも非常に美しく、正直こんなにいいピアニストだとは思っていなかったので、実演抜きで判断することの恐ろしさを思い知る。特にアンコールのシューベルト
 アンコールのマーラーでは最後、数秒の静寂が訪れたし、最初から最後まで大満足の演奏会だった。明日も楽しみです。