ポール・ルイス シューベルト・ツィクルスvol.4
王子ホール 19時〜
- シューベルト:16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ Op.33, D783
- シューベルト:アレグレット ハ短調 D915
- シューベルト:ピアノ・ソナタ 第14番 イ短調 Op.143, D784
- シューベルト:ピアノ・ソナタ 第16番 イ短調 Op.42, D845
- (アンコール)+シューベルト:ハンガリーのメロディ ロ短調 D817
- ポール・ルイス(ピアノ)
相変わらず大変に硬派なピアニズム。もうちょっと柔らかい音を出してくれてもいいのよ? とか思っちゃう瞬間なきにしもあらず。ですが、ポール・ルイスのシリアス極まりないシューベルトへの姿勢は、通して聴くと頭が下がります。それに説得力にも溢れていて、冒頭に置かれた舞曲の愉しげな空気感が、アレグレットでややシリアスに傾き、前半のソナタで完全にそっちに行ってしまい、後半のソナタでは愉悦感など遂に跡形もなく吹き飛んで、底抜けの闇が覗く。こういう考え抜かれたプログラムは非常に素晴らしいと思うことであります。
そして拍手で聴衆が現実世界に戻った所で、またやや愉しげな曲をアンコールしお開きにする当たり、やはりこの人センスいいなあと感心させられます。
次回はちょっと時間が空いて、来年の2月に最後のソナタ3曲を一気に弾くことになります。このハキハキした奏楽が、さて楽曲とどんな化学反応を起こします事やら。乞うご期待といったところでしょうか。