不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

倉敷祝祭管弦楽団&I・ホブソン(ピアノ)

  1. ベートーヴェン:《コリオラン》序曲
  2. エルガー:序奏とアレグロ
  3. サン=サーンス:ピアノ協奏曲第1番
  4. ラヴェル:ツィガーヌ
  5. メンデルスゾーン交響曲第4番《イタリア》

指揮とピアノはイアン・ホブソン。ヴァイオリン独奏は

 今日の客は、気になる音をそれほど立てなかった。変なブラボー叫ぶ馬鹿もいなかったし。しかしうまく行かないもので、こういう時に限って演奏がつまらぬ。疲れが溜まっていたこともあり、最初の二曲は爆睡してしまった。

 先週ロンドン交響楽団を聴いてしまったので、どうしても比較してしまうが、ロンドン交響楽団は単にアインザッツなどが「合っている」だけではなく、たとえば木管群が全管弦楽の中から綺麗に浮き上がり、妙技を聴かせてくれたものだ。弦楽器群も、各パートごとに見事なまでに分離して聴こえ、金管群もしっとりとした音を出していた。だが倉敷祝祭管弦楽団は違う。木管は埋もれがち、金管は硬質にただ鳴っているだけ、弦はヴァイオリンが目立ち倒す。音がちょこまかと動き回る《イタリア》でさえ、アンサンブルにまったく惹き込まれない。

 テンポやリズムも生硬かつ一本調子で、特に熱気があるわけでもなく、大変に退屈であった。音も篭っていた。これではまともに評価できぬ。ラヴェルのツィガーヌのみ、ヴァイオリン独奏のテクが光っていたが……。

 ステージ上のマナーや手際にも色々言いたいことの残る公演であった。しょせん中国地方、仕方あるまい。