倉敷祝祭管弦楽団&I・ホブソン(ピアノ)
指揮とピアノはイアン・ホブソン。ヴァイオリン独奏は
今日の客は、気になる音をそれほど立てなかった。変なブラボー叫ぶ馬鹿もいなかったし。しかしうまく行かないもので、こういう時に限って演奏がつまらぬ。疲れが溜まっていたこともあり、最初の二曲は爆睡してしまった。
先週ロンドン交響楽団を聴いてしまったので、どうしても比較してしまうが、ロンドン交響楽団は単にアインザッツなどが「合っている」だけではなく、たとえば木管群が全管弦楽の中から綺麗に浮き上がり、妙技を聴かせてくれたものだ。弦楽器群も、各パートごとに見事なまでに分離して聴こえ、金管群もしっとりとした音を出していた。だが倉敷祝祭管弦楽団は違う。木管は埋もれがち、金管は硬質にただ鳴っているだけ、弦はヴァイオリンが目立ち倒す。音がちょこまかと動き回る《イタリア》でさえ、アンサンブルにまったく惹き込まれない。
テンポやリズムも生硬かつ一本調子で、特に熱気があるわけでもなく、大変に退屈であった。音も篭っていた。これではまともに評価できぬ。ラヴェルのツィガーヌのみ、ヴァイオリン独奏のテクが光っていたが……。
ステージ上のマナーや手際にも色々言いたいことの残る公演であった。しょせん中国地方、仕方あるまい。