ラミア虐殺/飛鳥部勝則
- 作者: 飛鳥部勝則
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/10/21
- メディア: 新書
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で、楽しませていただいた。話の内容は無茶苦茶である。本格ミステリとしてしっかり作り込まれているが、そんなことはもうどうでも良くなるくらい、話は《他の要素》でかき回される。不気味に進行する物語がラストに至って遂に爆発する形態をとるが、溜めと引っ張り、あと前振りがうまく機能していて、普通だったら「何じゃこりゃ」のラストを、物語全体に違和感なく溶け込ませている。微妙に冷静な語り口が、不思議な感興を呼び込んでいるのも特筆すべきだろう。これがなければ、本格と《他の要素》はここまでうまく同居できなかったはずだ。
というわけで、佳作と言えましょう。どの程度の一般性があるのかは例によって判断しない。そんなのは歴史が決めることです。