不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

四日間の奇跡 浅倉卓弥

四日間の奇蹟

四日間の奇蹟

第一回このミス大賞。

というわけで、怖いもの見たさで読んでみた。予想に反してまともな小説だったのだが……。
先行作品とネタが同じ、とは聞いていたのだが、まさかアレとかぶっていようとは。作品自体は悪くないものの、先行作品がこのネタをリアルかつシビアに料理したのに対し、浅倉はファンタスティックかつハートウォーミングに料理している。感傷&感動路線一直線。個人的には、「甘ったるい、何じゃこりゃ」と思ってしまう。多分、登場順が逆だったら問題はなかったのだ。夢を壊されることに、私はさしたる抵抗がない。しかしながら、現実に夢を持ち込まれることは、極端に憎む。そういう問題ありまくりな人格こそが、この作品を純粋に楽しませるのを妨げた。
確信を持って言えるが、好きな人にはたまらない作品ではあると思う。『空飛ぶ馬』より『ななつのこ』が素晴らしい、と思う人には間違いなく薦められよう。