不壊の槍は折られましたが、何か?

クラシック音楽を聴いた感想がメイン(のはず)

マルティン・ジークハルト/アーネム・フィルハーモニー管弦楽団 シューベルト:交響曲第8番ハ長調《グレイト》

Wanderer2014-10-26

 2003年9月9日〜12日、アーネムのムシス・サクルム、コンサート・ホールでのセッション録音である。EXTONレーベルは、オンマイク気味録音の雄として、今回もなかなかいい音でオーケストラを録ってくれております。
 非常に緻密で充実した演奏である。奇を衒わず正面から楽譜と四つに組んで、かっちりした全体設計を前提に、細部のニュアンスも逐一拾い上げている。横の流れよりは縦の線をきっちり合わせることを重視しており、アクセントや音の切れが良く、ハーモニーにも厚みがある。拍節感も強めになっているが、メロディラインも無視されているわけではなく、レガートでメロディーを滑らかに動かす場面もあり、聴いていて「カッチカチやな……」的な違和感を覚える人は少ないだろう。オーケストラもなかなか立派であり、技術的に(このセッション録音で聴く分には)全く問題がない。木管群も最上・極上とは言えないものの、十二分に魅力的だ。意気込みも十分で、積極果敢にシューベルトの楽想に食いついている。テンションも郄めであり、各楽章のクライマックスではエキサイトさせられます。地方都市のマイナーなオーケストラと甘く見ていると驚かされること請け合いというわけです。
 カップリングは《未完成》。こちらも同傾向の演奏で、横の流れよりは縦の線、というか楽曲構成を重視している。よって雅な風情はほとんど感じられませんが、しっかり正面から演奏できているので好感度は高いです。基本を押さえたいい演奏だと思いますよ。