双面獣事件/二階堂黎人
- 作者: 二階堂黎人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/07
- メディア: 新書
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空想B級ゲテモノ科学が炸裂する物語である。海野十三のようなノリで進む物語であり、我々読者もそれ相応のノリを求められよう。そしてその限りにおいては、なかなか楽しいストーリーラインを有している。本書に本格ミステリを期待するのはそもそも間違いであるはずだ。《真相》はあまりにも非合理的で、さすがにこれを実行する者は誰もいないと思われるが、ケレンたっぷりの作品で「計画が現実的ではない」と突っ込むのは野暮というものである。ただし、犯人や悪人サイドへの罵倒、蘭子への賛辞、恐怖感の扇情などの場面が問題で、冗長なうえに語彙も貧困なのはやはり厳しい。ここを大幅カットすればもう少し作品が締まったと思われる。本書に含まれる思想内容は変ではないが、文章が幼稚なのでかなり損をしていると思われた。二階堂黎人は字数を自ら制する節度を持っていい。