晩餐は「檻」のなかで/関田涙
- 作者: 関田涙
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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最後はなかなかに綺麗であり挑発的でもあって、一定の評価ができる。しかし、周到な伏線や緻密な論理等に基づいたものではないし、ジャンルにおける概念のラディカルな転換といったものもないため、小手先の皮肉やおちょくりといった感が拭えない。更に、作中作の世界はあまりに突っ込み所が多い不自然なものであり、その不自然さを筆力でねじ伏せるようなこと(雰囲気で誤魔化す等)もできておらず、過大評価は禁物だ。
売れない作家が懊悩するパートも、展開される人間ドラマがあまりに安く、しかし筆の中には《小説に関する主張》や登場人物に対するシンパシーが中途半端に見受けられ、どうにも吹っ切れていない。戸梶圭太や折原一のように、色々と割り切って突き放せばいいのに……。
というわけで私の評価は芳しくないが、一部で好評のようでもあり、暇な方はトライしてはどうだろう。