ピエール・ロラン=エマール
- ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第1番
- ドビュッシー:前奏曲集第1巻より《沈める寺》《野を渡る風》《雪の上の足あと》
- ラヴェル:夜のガスパール
- シューマン:交響的練習曲Op.13
- (アンコール)ドビュッシー:前奏曲集第1巻より《亜麻色の髪の乙女》
- (アンコール)モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番変ニ長調K.570より第三楽章
- (アンコール)ブーレーズ:4つのノタシオン
- (アンコール)ドビュッシー:前奏曲集第1巻より《パックの踊り》
- (アンコール)クルターク:3つのゲーム
- (アンコール)ドビュッシー:前奏曲集第1巻より《音と香りが夕べの大気に漂う》
- ピエール・ロラン=エマール(ピアノ)
素晴らしいっ!
とにかく強靭、かつ細部に至るまで極めて明晰な演奏。味付けはシンプルだがテンションが非常に高く、かつ全てが眼前にテキパキと整理・開陳される。解像度高くて、初めてハイビジョン見たときのような感覚。
《沈める寺》はまさにズゴゴゴゴ……という感じで圧倒されたし、他のドビュッシーも、冷え冷えとした静謐なる空気感を堪能。シューマンは熱気が明晰な狂気にまで突き抜けてしまった観があり凄かった。そしてブーレーズやクルタークといった現代曲が本当に素晴らしかった。特にブーレーズ、確かにこのレベルの演奏で聴くと、歴史に名を残すべき作曲家だと理解できる。
しかも持ち玉はこれだけではない。モーツァルトが異様なまでに可愛かったのである。こんな単純な曲なのに……いや、エマール級の人が弾いてこそ、モーツァルトの真価は姿を現すということだろう。そういえばこの人、去年聴いたベートーヴェンのコンチェルトも良かったよなあ。超今更だが、やはりモーツァルトは神だと思う。
明晰過ぎて《夜のガスパール》ではなく《昼のガスパール》となってしまったラヴェルのみ、単純に絶賛するには躊躇を覚えるも、あのシュールさが素晴らしかったことも事実。
とにもかくにも、俺大絶賛。今年は、アムラン、ポゴレリチ、そしてエマールのリサイタルに行けたことを、神に感謝したい。