不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団

  1. マスカーニ:歌劇《仮面》序曲
  2. マスカーニ:歌劇《わが友フリッツ》より「涙と悲しみしか残らない」
  3. チレーア:歌劇《アドリアーナ・ルクヴルール》より「わたしは神のいやしい僕です」
  4. レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》間奏曲
  5. プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》より「はなやかに着飾っても」
  6. プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》より「さようなら」
  7. プッチーニ:歌劇《ヴィッリ》間奏曲「妖精の踊り」
  8. プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》より「お聞きください」
  9. プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》より「ある晴れた日に」
  10. (アンコール)プッチーニ:歌劇《つばめ》より「ドレッタの夢」
  11. チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調Op.36

 《仮面》序曲でテンションが一気に下がる。何この躍動感のなさ。つーかバラバラなんですが……。カリニャーニ指揮の紀尾井シンフォニエッタで聴いたときは、もっと楽しかったんだがなあ。確かにサンティは変に劇性を煽り立てず、折り目正しく来るタイプではあるのだが、その場合、粗雑なアンサンブルだと台無し気味。
 とはいえ、徐々に持ち直したのは不幸中の幸い。慣れただけかも知れないが、たとえば「妖精の踊り」辺りは非常に楽しく聴けました。さてサンティの娘マルフィージ。声はあまり綺麗ではないものの、歌い口はなかなかのものであったと思う。声が延びないのであればこのアンコールは不要と思ったが、まあ怒り出すほどでもなくまずまず満足。単なる親馬鹿ではないかとの邪念を吹き飛ばしてくれるほどの演奏ではなかったが。
 後半のチャイコフスキーは、解釈自体はゲルギエフヤンソンスよりもレベルが高いと思った。フレージングやリズムに意を用い、じっくり冷静・着実に進めてゆくチャイ4、大好きなわけです。第3楽章やフィナーレでは、N響がノッて熱気や勢いが出ていたが、それがサンティの意図どおりかは怪しい。ま、総じて面白い演奏ではありましたよ。第1楽章と第2楽章の調子が持続してれば、素晴らしいと言っていたことでしょう。
 それにしてもN響……。アンサンブルが雑。サンティ、実演では初めてだが、今度はもっと格上のオーケストラで聴いてみたい。