不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ラン・ラン来日公演(東京その1)

サントリーホール:14時〜

  1. シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番イ長調D959
  2. バルトーク:ピアノ・ソナタSz.80
  3. ドビュッシー前奏曲集第2巻から《ヒースの茂る荒地》
  4. ドビュッシー前奏曲集第2巻から《月の光がふりそそぐテラス》
  5. ドビュッシー前奏曲集第2巻から《花火》
  6. ドビュッシー前奏曲集第1巻から《亜麻色の髪の乙女
  7. ドビュッシー前奏曲集第1巻から《アナカプリの丘》
  8. ドビュッシー前奏曲集第1巻から《沈める寺》
  9. ドビュッシー前奏曲集第1巻から《ミンストレル》
  10. ショパンポロネーズ第6番変イ長調op.53《英雄》
  11. (アンコール)ショパン:12の練習曲op.10第3番ホ長調《別れの曲》
  12. (アンコール)孫以強:春舞
  • ラン・ラン(ピアノ)

 ピアニストの顔が見える席に座ったのだが、マリク並みの顔芸。演奏そのものは流石のテクニックで、曲想もしっかり描き分け、深沈たる雰囲気もしっかり出していました。ただし、激しい曲想になると豪快に弾き飛ばす傾向があったように思う。英雄ポロネーズはやり過ぎだったし、シューベルトも強奏部で結構ガツンとした音を出してしまうのは、曲の様式に不適合だと思われた。あと、何を弾いても同じになってしまうというか、「豪快」と「深沈」の2パターンしか持っていないように聴こえてしまった。シューベルトの歌が孕む天国と冥界の行き来、バルトークの高潔な精神、ドビュッシーの詩情などが、もう一つ描き切れていなかった……と思うのは、私の耳の問題なのかも知れませんが、感心はすれど感動しなかったのは事実です。