不壊の槍は折られましたが、何か?

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世界短編傑作集4/江戸川乱歩編

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

 第四巻は1927〜33年の作品を収めている。
 最初はヘミングウェイ「殺人者」。俺にはよくわからない小説であった。フィルポッツ「三死人」はくだらぬ推理根拠を振り回す。とはいえ、動機の内容そのものはなかなか読み応えがある。ハメット「スペードという男」は、題名どおりスペードの私立探偵振りが素晴らしい。好きにはなれんがやはりカッコ良過ぎ。クイーン「キ印ぞろいのお茶の会の冒険*1」はご存知の大傑作。これぞ本格、そしてこれぞエラリイ・クイーン! コップ「信・望・愛」は応報譚だが、奇妙な味わいに溢れており楽しめる。バーク「オッターモール氏の手」は、街を包む不気味な緊迫感、そして幕切れが素晴らしい逸品。チャーテリス「いかさま賭博」は、展開の妙が冴え渡る。セイヤーズ「疑惑」は、手堅い家庭内サスペンス。砒素ってのが古典的でいい感じです。そして最後は、言わずと知れたウォルポール「銀の仮面」。ラストが本当に素晴らしい。
 というわけで、次は最終巻です。

*1:「は茶め茶会の冒険」に改題されたが、俺は断固認めない。