鬼神伝〈鬼の巻〉/高田崇文
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/31
- メディア: 単行本
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登場人物が期待通りに動かないからと作品を非難するのは基本的に愚かしいことだ。しかし人間(もちろん私も含めて)は、それとわかっていても毎回馬鹿をやってしまう。私は、当時も今もその先輩のことを非常にハイレベルの読み手だと思っている。しかし彼でも、自分の感覚的な、素朴な疑問をもって評価を下す時があるのだ。
なんでこんなことを思い出したかというと、『鬼神伝〈鬼の巻〉』にまったく逆の疑問を感じたからだ。
- 主人公は、なぜ元の時代に帰るのか?
もちろん続編が出ることは認知しており、主人公が戻って来るのは必至なわけだが、だからといって私の「不納得感」が緩和されるわけではない。主人公よ、お前は事ここに及んでも自分の都合を優先するのか? 周囲の人間がそれを諾々と受け容れるのも信じがたい。止めろよ。死ぬぞ。
他の面でも色々と不満が残る。
対立構図があまりにも明瞭に善悪に別れており、作者は世界を単純視してる人なんじゃないかと危惧する(高田崇文には元々この傾向はあったが、今回子供向けということでより先鋭化している)。そもそも、『QED』シリーズ既読でないとわかりにくいテーマというのも、どうかと思う。お題目でも何でも、ミステリーランドは対象年齢が低い以上、既成ファンに頼るのではなく、ここで新たなファン層を開拓するのだという気概を持って臨んでほしかった。
最近、高田崇文には残念な感想を得ることが多く、ファンであり続けることに黄信号が点った。まあ私がファンを続けようが離脱しようが、大勢には何の影響もないわけだが。