若竹七海:八月の降霊会
- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/08
- メディア: 文庫
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ネタとかはありだと思うが、とにかく小説作りが痛すぎる。
異常な過去を持つことにより歪んだ叔父が、幼い甥を××する、なんてのはいい。しかしだ。その甥が長じて美青年となり、同じく美青年の従弟に「俺はお前を失いたくない」とか言わせるのはやめれ。火村とアリスのごとく、新婚モードでじゃれあう場面など、もはや言語道断である。
そして、霊媒師の娘。お前だよ、お前。
パニックになるとべらんめえ口調になるのは本当にやめて欲しい。ていうか若竹七海の描く女性はいつもこうだ。切れる前からか後からかの違いはあるが、結局のところ、べらんめえ一辺倒。ていうかべらんめえ以外はお高く止まった喋り方か、ごく普通の「元気な女(女の子ではないところに要注意)」の二つしか、バリエーションないからな。考え方も全然違わないし、結局、若竹七海は女性の描きわけができないのである。女性作家なのに。それとも、女性作家だからか。
しかし、これらを圧倒する作家としての欠陥。
それは、リーダビリティーの致命的なまでの欠落にある。先を読もうという気が、これほど起きない作家も珍しい。そしてかかるがゆえに、彼女は今も作家として生きていけてるのかも、なんて思う。無論皮肉だが。