セリヌンティウスの舟/石持浅海
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/10/20
- メディア: 新書
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というわけで、動機は本作の欠点ではない。問題はロジックである。「この人はこういう人だ、だからこの時はこう行動したはず/しなかったはず」というロジックは、ロジックの体を成していない(と私は信じている)。もちろん、この手のロジックをいかなる場面においても認めない、というわけではない。しかし、全編議論シーンで埋め尽くされる(=ロジックを作品の売りにしている)状況において、その全ての論拠が「死者はこういう人のはず」なのは、個人的には到底承服できない。
いずれにせよ、連帯感バリバリのやり取りは気色悪かったです(欠点だとは思わないが)。ディベートやロジックそのものはスムーズに繋がっていて、ここら辺は流石だと思いました。以上。
*1:これに関しては、他人の読書感想を見聞きする人種にとっては自明の理だろう。