不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

でかした、ジーヴス!/P・G・ウッドハウス

 『ジーヴズの事件簿』『比類なきジーヴス』『よしきた、ジーヴス』『それゆけ、ジーヴス』『ウースター家の掟』を読んできて、私はウッドハウスを神認定*1している。従って何を読んでも面白いとしか言わないわけだが、それでもなお『でかした、ジーヴス』所収の各編はただそれだけで面白い。基本は単なるドタバタだが、この裏には確かに、道徳とか政治信条とかいった糞くだらないものを超えた先にある、《人間性》そのもへの洞察に満ちた視線がある。素晴らしい! ただただ素晴らしい! それだけでお前等は何の不足を感じるというのか?