不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ゴーストなんかこわくない/ロン・グーラート

ゴーストなんかこわくない―マックス・カーニイの事件簿 (扶桑社ミステリー)

ゴーストなんかこわくない―マックス・カーニイの事件簿 (扶桑社ミステリー)

 バカミストークショーでの推薦本第5弾。
 広告代理店で働くマックス・カーニイは、実は裏でオカルト探偵をやっていた。つまり、魔法やら怪物やら幽霊やらが関係するトラブルを解決に導くのだ。というわけで、結婚を控えているのに毎週象に変身してしまう男、人魚と浮気する夫、死んだ伯父さんが映るテレビ、今の勤務先の上司に黒魔術をかけられて転職面接を受けに行くと透明化する女性、などなどの騒動を描く短編集。
 ゴースト退治譚では必ずしもなく、基本的にはトラブル・シューティングである点がミソ。カーニイはおろか他の登場人物も、オカルト的事柄に平常態で接し、全編非常にヌケヌケとしたユーモアに包まれる。300ページ弱に9編も収められているが、いずれも本当に軽く楽しい作品だ。さくさく読めて後には何も残さないが、これはこれで素晴らしいと思う。読みやすくもあり、広くおすすめしたい。